2012年12月03日

インド哲学悟りの真理④ 般若心経③

 解説
 
 ①は序文であり、概要。論文で言えば、要約にあたる。

 ②は空の哲学の説明である。我々が見たり触ったりして「確実にある」と思い込んでいる色(物質)とは、実は「関係性の海」の中から分別によって「そういう風に切り取った」から「そういうふうにあるように見える」だけのものにすぎない。だから、そこに「そういう実体」あるわけではないのだという理論を提示する。

  *我々が日常的に使っている「原因」という言葉の正体は、実は個人個人の「思い込み」に由来するものであり、「原因」という自明で確固たる何かが存在しているわけではないのである。

 ③は空の哲学の実践である。前段までの空を踏まえて、あらゆるものを「無い、無い」と否定し、分別が始まる前の原初の世界(赤子のころの世界)に読み手をいざなおうとする。

  *実体がないといってもどんどん分解して行けば根源的な「要素」がどこかにあるはずだと仏教徒は考えてしまう現実を知る龍樹は、正当な理解者として、すべては「無」とした。「空」から「無」である。
だから、釈迦の考えも、仏教の根本教義もすべて否定し、「無」とする。
  *分別智は言葉などの知識の組合わせで理解する。 無分別智は言葉を用いない理解のやり方。

 ④はフィナーレ。無分別智(般若)の境地にいたるには「自我の崩壊」「自己の死」という恐るべき体験を乗り越えなくてはならない。そこで、呪文を使って勇気を出させ、その死の恐怖を乗り越えさせようとする。

  *仏教の核心である般若心経の核心である真言のさらなる核心は、「ソワカ(幸あれ)」


 **物事が「空(関係性の中で成り立っているだけの実体のないもの)」であることを踏まえつつ、
 無分別(智慧)の行を実践して真言を唱えながら、えいやと悟りの境地に至りましょう**

 これが、般若心経。  


Posted by 中原歯科医院 院長 at 07:15